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この20年を振り返ると
ひとことでどのような時代だったでしょう

石田
我々は21世紀を迎えるその節目に誕生しました。
それからの20年は金融界にとってまさに激動と変化の時代でした。その大きな流れが来るたびに社会やマーケットの状況を分析し、我々は何を心しないといけないのか、次はどちらに向かうのか、どう考えるべきかを検討する。その繰り返しの20年であったと思います。

そんな激動の時代を乗り越えるための
大切にされたことはどんなことだったでしょうか

石田
特に証券ビジネスは価格が1秒ごとに変化する商品(株・債券・デリバティブ・為替)を取り扱う難しい仕事だということです。変化というのはリスクということです。そのようなビジネスを行う中で一番大切なことは、リスクのプロフェッショナルとして常に時代の変化の匂いを嗅ぎ、適確な情報を得て常に学ぶ姿勢を持ち、そして、常にお客様に寄り添う姿勢を保つ。野生に生きる覚悟、敏捷性と警戒心を持ち、また自社の立ち位置を考えながら経営のかじ取りをする。そういう感覚を持つことが証券ビジネスには絶対必要だと思っています。
こうして振り返ってみますとこの20年はそういう感覚を常に意識し、企業の体質やあり方、ビジネスモデル自体を大きく変えてきた、いわば“変える”“変わる”。そういう変化・改革の20年でもあったとも感じます。

その変革の20年に関してもう少し詳しくお聞かせいただけますか

石田
それまで株を中心とした証券ビジネスの会社であったのを、取り扱うビジネスの幅を広げていこうということで総合金融、総合証券会社を目指すんだというコンセプトをはっきりさせました。
具体的には、他の証券会社の買収やブルーオーシャン・マーケットであった地方マーケットの開拓のため地方銀行との提携を始めるなど、ビジネスの基盤を広げていきました。
さらに独自のビジネスモデルをつくりあげていきたいという考えから、例えば証券ビジネスのコアの市場である富裕層市場の開拓のためにオルクドール(※注1)部門の開設や市場部門の強化など、将来の発展のための礎を作る努力をしました。

(※注1)金融サービスはもとよりライフスタイルに関わるさまざまなサービスを提供する富裕層向けブランド。

石田CEOがこの20年の間、
大切にされてきたこととはなにでしょう

石田
今また、これまで考えられなかったような激動の大きな波が、信じられないほどのスピードで押し寄せてきています。コロナウィルスの感染拡大しかり、デジタライゼーションしかりです。
私はダーウィンが言っている「生き残る種はもっとも強いものでも、知的なものでもなく、変化に最も対応できたものなんだ」という言葉をよく思います。
我々、東海東京フィナンシャル・グループもかくあるよう活動してきたのではないかと思っています。
時代の変化を敏感に嗅ぎとり、自分自身のレガシーにこだわらず、常に挑戦の精神を忘れることなく行動する。それが大事なことと考えています。
その一方でもうひとつ大切なことは、デジタルの社会においてもベースは人間だということです。お客様、株主、ビジネスパートナー、そして社員。人間を常に念頭に置き、大事にしながら期待に応えていく。そしてみなさまからは信頼していただけること、そして当社とお付き合いしていることを誇りに思っていただけること。これが重要だと思って、今まで活動してきたと自負しています。

20周年を機に、コーポレートスローガン(以下、スローガン)を刷新されました

石田
常に未来を見据えながら新しい挑戦をすること、そして人と人の結びつきを大切にしていく、それが次の10年、20年に向かって大切なことだというメッセージを発信するためにこの「未来をつなぐ、心をむすぶ。」というスローガンを考えました。

次の10年、20年に向かう取り組みに関してお聞かせください

石田
例えばデジタルひとつとっても日本は世界に比べてはるかに遅れています。日本の技術レベルで追いつかない部分に対して我々は海外の会社と提携したり、デジタル分野に取り組む人材育成に力を入れています。
実はこれは今に始まったことではなく、証券ビジネスは他の金融ビジネスよりもよりハイレベルな専門性が必要ということで、従来より社員教育に力を入れてきました。大学院や海外MBAにも人を送り込んで教育に投資をしています。若いうちに色々な刺激を受けて育った社員が、彼らの海外での経験や敏感な感覚を大事にして行動する。これからの時代は彼らが発する先駆的なアイデアを大切にしていきたいと思っています。
合田
この難しい時代に石田社長が築いてこられた東海東京証券という独特の地位や基盤を我々がどう繋いでいくかという大変な重責を担うことになったのですが、やはり人間力、人間性が重要だと私も考えます。
我々は業務のための専門性だけではなく、あえて人間性というものを並列に2本柱にしているという想いを、就活をしている学生さんも含めて皆さんに考えてほしいです。誠実であること、学び続けること、仲間を大切にすること、お客様への対処の仕方、フィデューシャリー・デューティーの精神とか、全てのことを昇華させると人間性という言葉に集約されるんですね。これを社員がきちんと理解して自分達でどう考えて、どう実現させていくのかというのが、次の20年なのかなと思っています。理想論かもしれませんが、その人間性が備わればお客様の期待にも、社会的要請にも応えられると信じています。
表面的なテクニカルな面、技術的な面で繕っていてもそれでは20年はもたない。
石田社長が大事にされて我々が引き継いでいかなくてはいけないことはそういうところではないかと思うんですよ。
石田
我々が取り組んでいる地方銀行との連携ひとつとっても他の会社とは全くコンセプトが異なります。我々の場合は共に考えて、共に進んで、共に生き延び、成長しようという考え方なんですね。地方銀行さんのグループ内で、地方銀行のお客様の取引を完結し、それを私たちが全面的にサポート(私たちはこれを自己還流システムと言っています)する。そのようなシステムを大事にしたい。どんな時代にあってもビジネスのベースには人がいる。社員を、お客様を、仲間を、当然株主様を大事にする。その考え方はこれからも大切な支柱であり、支えであり、理念であると思います。
合田
私は個人的に自己犠牲の精神というものがひとつのポイントだと思ってるんですよね。今の地方銀行さんの話しでも我々のグループ利益だけを追い求めるのではなく、自己犠牲的な部分もあるから発展してきたという面もあると思います。だからこのスローガンの「心」という言葉がとても大事だと思います。
石田
ビジネスの世界は厳しくて、目指す姿を追いかけても業績がついていかないなど、色々難しい問題が多いのですが、20周年を機にあらためて我々の会社の精神としてこの「未来をつなぐ、心をむすぶ。」というスローガンを据えて未来に向かって邁進していこうと考えています。
合田
そのスローガンを具現化していくためにも、最近強く意識している「寄り添う」という言葉がキーワードになると思います。我々が寄り添うということはお客様にも寄り添ってもらっていると感じていただかなくてはならないとダメで、お客様にどうそれを実感してもらうかを追求していかなくてはと思っています。
相場とは関係なしに、どんな逆風のときでも寄り添うという意志を持ってやることが大事で、そのためには意志が自然に湧くように、その意味を社員みんなで共感して理解することを追いかけていくことを徹底したいと思っています。

地域や社会貢献に関しての思いをお聞かせください

合田
我々は愛知県を中心にしながら東京に進出して、オルクドールも東京にオープンしたのですが、会社の成長とともに社会貢献の範囲も広がっていくだろうし、広げていかなくてはならないと思っています。
例えばホールディングスにSDGs推進部を立ち上げて、我々が直接的にあるいは重点的にやりたいことを経営会議の中で絞りながら具現化していこうとしています。
石田
僕は北海道出身ですが、銀行に入行し、最初の勤務地が名古屋でした。人はやはり、慣れ親しんだところや、嬉しくて楽しくてほっとする自分の居場所を大事にしたいという思いがあるんです。故郷や家族を大切にしたい、皆がそう思っている筈です。そういうわけで、私達、グループを育ててくれた、いわば、マザーマーケットの名古屋、中部地区を大事にしたいという思いが私達にはあります。ただ、一地域でのビジネスだけでは成長に限界があるというのも事実で、マザーマーケットを大事にしながら東京、あるいは全国展開を考える必要もある。ただ、これらのニューマーケットの中では、私たちは新参者、新興勢力であり、難しさも数多くあると思います。その難しさ、限界感をどう乗り越えていくのか、それが合田社長の大きなミッションになるのではと思っています。
合田
東京に本格的に力を入れるにあたって、オルクドール東京を提げて出てきたわけですが、石田社長が踏み出した第一歩を大事にというか、縮こまることなく、さらに加速、発展させていかなくてはと思っています。
石田
ホールディングスを作ったとき、東海東京証券の重要なメインマーケットは中部地区だったのですが、東海東京証券の本社の所在地は東京だったんですね。そのため、中部地区のお客様から、どうして本社は東京なんですかとの声も多く、また、ホームマーケットを大事にしなくてはとの思いもあり、東海東京証券の本社を名古屋に移したわけです。一方、将来の会社成長の為にはグループの司令塔が必要だとの思いもあり、ホールディングスの本部を金融の集積地である東京に置くことにしたのです。
以来、地方銀行との提携も拡大し、専門性を求められる市場部門も大きく成長。また、オルクドール事業も名古屋だけでなく東京地区でも育っています。ただ、合田社長も言っていたように私達が東京で、或いは全国ですべてのマーケットを開拓するのは無理だと思うんですよね。
やはり私たちが独自の魅力あるマーケットを創造できるか、いわばニュー・ブルーオーシャン・マーケットを作れるか。これが、我々グループが乗り越えるべきこれからの大きなテーマになってくると思っています。

フィンテックにも積極的に取り組まれていますが

石田
フィンテックやブロックチェーンに、東海東京フィナンシャル・ホールディングスの若い社員たちが中心となり取り組んでいます。ただ、言葉の流行と実態にはものすごい乖離があるわけですよ。でも必要性は感じている。多分、そういう時代になるだろうとは思うものの、すぐにはなかなかそのマーケットでの成功者は出てこない。イノベーションのジレンマとかディフュージョンの苦悩っていう言葉があるんですけど、要するにレガシーを背負っているところが新しいものに取り組む際はレガシーに引っ張られ、なかなか成功できない。
また、新しいイノベーションに基づくビジネスが普及し、マネタイズ(収益化)するには相当な時間が必要なのも事実なのです。5年、10年かけて一挙に爆発する可能性もある一方で一挙に沈む可能性もある。そのような世界がデジタライゼーションの世界なのです。ただ私は、専門性や技術力が圧倒的に運命を握る時代になってきており、一旦遅れると取り返しのつかない事になってしまうのも事実であると思っています。その新しい時代に「絶対に勝つんだ、成功するんだ」という強い思いで成長し挑戦することが必要な時代になって来ている。そしてこの挑戦は自分達だけのためではなく、我々の仲間の地方銀行さんのお役に立つためでもあるとの強い思いで、みんなで頑張っているところです。

これからの決意をお聞かせください

合田
証券界の人が誰も思いつかない提携証券合弁の第一号を立ち上げ、そういうビジネスの骨子をプラットフォームビジネスに昇華させて、そこでその中でのキーとなるコンテンツとしてフィンテックに果敢に挑戦していくという決断をこれまでずっと見つめて、私なりにサポートをしてきたつもりですが、今度は私自身がそういう局面で決断をする立場になっていくのではないかと思います。これまで吸収してきたことを生かしつつさらに経験を積んでいきたいと考えています。

すべてのステークホルダーのみなさまへの
メッセージをお願いします

石田
NHKの大河ドラマではないけれど、やはり麒麟児になるんだと。
我々のステークホルダーはみんな人、Humanity(人間性)を大切にする人達です。人を嬉しく、楽しく幸せにできるように、それをなしとげるのが私たちのミッションなんです。そういう意味でHumanityを最も大切にする会社にする、その信念のもとに社員一同、決意をあらたに邁進していく所存ですので、これまで同様、私たちを厳しくも温かく見守り、応援していただきたいと思います。